東海道53次の道路事情

本番の13日間を迎えるにあたって,最も恐れていたものが車道であり,大型車両でした。「静岡・愛知は交通量が多く危険」「バイパス地獄」「歩行者・自転車に優しくない」といった情報が多かったので。

TC道路の経験

また,自分の練習ルートの延長線上に,歩行者・自転車通行可能でありながら,歩道が無く,狭い路側帯を歩くしかなく,かつ大型車両が頻繁に至近距離をかすめて通り,さらに身の危険を感じて側道に下りたくても下りられない半閉鎖的空間という,とんでもないクレイジーな道路が存在するのです。(以下,「とんでもないクレイジーな道路」の略で「TC道路」と呼びます。)TC道路の入口には,歩行者に注意を促す看板等がまるで無いか,全く目立ちません。それで,一度半信半疑ながらこの区間に足を踏み入れてしまったことがあるのです。そうしたらやがて,歩いているのは自分一人になり,大型車両がわがもの顔に猛スピードで走り抜けていくようになりました。車向けに「法定速度で走ろう」「高速道路ではない」などと書かれているのですが,守られているようには到底見えませんし,仮に時速60㎞でも接触したら即終了です。当然,引き返そうと思ったのですが,それができませんでした。なぜなら,右側通行をしていたので,引き返そうとすると車に背を向けることになり,ますます怖かったからです。そして,信号・横断歩道・歩道橋が全く無く,側道への出口すら無い一般道路というものが全く理解できぬまま,1時間弱もTC道路を歩く羽目になりました。帰宅後さっそくTC道路について調べると,なんとかつて有料のバイパス道路だったものをそのまま無料開放したものだと。そりゃ地元の人は知ってるだろうけど,よそものには分からんわと。ともかくこのTC道路のお蔭もしくはTC道路のせいで,車道と大型車両に対する過度の警戒心が醸成されてしまったのでした。

東海道は充分安全

総延長約500㎞の東海道上で,TC道路のようなクレイジーな目に遭うことは全くありませんでした。さすがは日本を代表する「国道1号」です。ほとんど唯一,「ここどうやって歩けっての?」と思った上石田交差点(三島-沼津間)の名前を鮮明に記憶しているくらいですから,ここ以外はルート取りに困ることもほとんどありませんでしたし,上石田交差点にしろ,小夜の中山にしろ,鈴鹿峠にしろ,「車が気になる」「歩きにくい」とちょっと感じた箇所は,ことごとく旧街道から外れて歩いていた区間でした。歩行者用とも言える本来の旧街道を辿っていれば,ここら辺も,より安全に歩けたことと思います。

(2周目追記)
三島-沼津間も小夜の中山も,やはり旧街道を歩けば全く問題ありませんでした。これ即ち,ちょっと頑張って歩く気力さえあれば,老若男女誰でも安全に東海道ウォーキングを楽しめるということです。すべてこうしたことの常で,「だから油断していい」という意味ではないのですが,この企画を実行する前に一番警戒していた交通問題は「ほぼ」完全に解消されました。

安全な東海道唯一の汚点

豊川放水路にかかる高橋(たかばし)。宿場でいうと,吉田宿から御油・赤坂方面に向かうこの地点だけはいまだに危険です。(2017年10月末現在)歩道が無く,大型トラックがバンバン向かって来る。天竜川橋の恐怖が新天竜川橋によって解消された今,この高橋が東海道中のワーストポイントに躍り出たのは間違いありません。聞けば,昭和40年竣工とか。愛知県頑張って下さいとしか言いようがありません。